傾いた木や斜めに生えた木を伐採する際には、通常の伐採よりも多くのリスクが伴います。これらの木は重心が偏っているため、倒れる方向が予測しにくく、作業者や周囲の環境に危険を及ぼす可能性が高まります。リスクを正しく認識し、適切な対策を講じることで、安全で効率的な伐採を実現できます。
傾いた木は、重心が倒れる方向に偏っているため、通常の方法では計画通りに倒れない場合があります。特に、重心の方向に障害物がある場合、木がその障害物に倒れかかるリスクが高まります。また、根元の状態が悪い場合や、風の影響を受けやすい場所に立っている木では、予想外の方向に倒れる可能性がさらに高くなります。
このようなリスクを防ぐためには、まず木の傾き具合と重心を正確に判断することが必要です。木の傾きの方向を確認し、倒す方向を計画します。計画した方向が安全で、倒れるスペースが十分にあることを確認します。傾きが大きい木の場合、通常の伐採手順に加えて補助器具を活用することが推奨されます。
ロープやウインチを使用することで、木が倒れる方向をコントロールしやすくなります。ロープは木の重心より高い位置に取り付け、倒す方向に引っ張ることで、重心を計画した方向に誘導できます。この作業を行う際には、適切なテンションを保ち、周囲に安全な退避スペースを確保します。
また、受け口と追い口の切り方も重要なポイントです。受け口は、倒す方向に対してより深く、広めに作ることで、木の倒れる力を最大限に利用します。追い口は、受け口から数センチ高い位置に切り込みを入れ、つるを適切に残すことで木が制御可能な状態を維持します。つるの幅と深さは、木の直径や傾きの角度に応じて慎重に設定します。
斜めに生えた木の場合は、地形の影響も考慮する必要があります。傾斜地では、木が自然に下り方向に倒れやすくなるため、上り方向に倒す計画を立てる場合は特に注意が必要です。この際、ロープを活用して補助的な力を加えることで、安全に作業を進めることができます。
さらに、伐採中は木の挙動を常に監視し、異常が発生した場合に迅速に対応できる体制を整えます。例えば、切り口が想定よりも深くなりすぎた場合や、木が意図せず倒れ始めた場合は、作業を即座に中断し、安全な場所に避難します。
傾いた木や斜めに生えた木の伐採には高い注意力と技術が求められますが、正しい計画と適切な道具の使用によってリスクを最小限に抑えることができます。経験を積みながら安全な手順を確立することで、より安心して伐採作業を行えるようになります。