高所作業車を導入することによって、伐採現場の安全性と作業効率は劇的に向上します。まず、安全面においては、作業員が常に安定した足場の上で作業を行えるため、転落事故や伐採中の枝落下による事故のリスクが大幅に低減します。これは労働安全衛生法でも強く求められているポイントです。
また、作業時間の短縮も大きなメリットです。従来のロープ作業や仮設足場設置作業では、準備に数時間から一日を要することもありましたが、高所作業車を使用することで、設置と撤収が迅速に行え、1日のうちに複数本の伐採作業が可能になります。結果として、作業コストの削減にも直結します。
具体的な安全性向上の要素としては、次の点が挙げられます。
- 作業床が安定しており、揺れやすい木の上での作業リスクを排除
- 作業員がフルハーネス着用でバスケット内に固定されるため、万一の際も墜落防止が可能
- 吊るし切り伐採やロープワークに頼らず、大木を安全に順番に切り進めることができる
作業効率向上の観点では、以下のような違いが現れます。
項目
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高所作業車なし
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高所作業車あり
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準備作業時間
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2時間〜4時間
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30分〜1時間以内
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1日あたり作業本数
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2本程度
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5本以上
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安全対策工数
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高リスク+手間がかかる
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最小限で済む
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作業員の疲労度
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高い
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大幅軽減
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高所作業車には、「スパイダーリフト」や「ブルーリフト」など、林業や造園業向けに特化したモデルがあり、現場条件に応じた最適な選択が重要です。特に「スパイダーリフト」は、スリムな車体幅と不整地対応能力により、住宅街や山林の入り組んだ場所でもスムーズな伐採作業が可能です。
また、最新型の高所作業車には「リモコン操作機能」や「電動式静音モデル」が搭載されており、作業中の振動や騒音も最小限に抑えることができます。これにより、住宅街や病院・学校周辺といった静音が求められる環境でも活躍できるのです。
一方で、高所作業車を使用する場合、資格の取得が必要となるケースもあります。「高所作業車運転特別教育」や、作業床高さ10m以上の場合には「高所作業車運転技能講習」など、規定を満たして運用しなければなりません。この点も、事前にしっかり確認する必要があります。
近年では、高所作業車のレンタル料金も以前に比べると下がりつつあり、作業内容や現場規模に応じて最適なプランを選ぶことが可能になっています。スパイダーリフトのレンタル費用は、1日あたり5万円前後が相場ですが、長期レンタルやまとめ借りによる割引プランも存在します。
安全性と効率化、そしてコスト最適化。この3つを同時に実現できるのが、高所作業車を活用する最大のメリットであり、現代の伐採現場では欠かすことのできない選択肢となっています。