高所伐採では、作業者の足元が不安定な場面が非常に多くなります。木の枝に登る、ハーネスでぶら下がる、傾斜のある足場を移動するなど、常にバランス感覚と踏ん張りが要求されるため、足元の装備が安全性を大きく左右します。その中でも特殊伐採ブーツは、一般的な作業靴とは異なる機能と構造が求められます。
まず、軽量性が重要です。高所で長時間にわたって活動する際、重いブーツでは足への負担が大きくなり、疲労が溜まりやすくなります。軽量であることは、単なる快適性の問題にとどまらず、安全に直結する要素です。特にアーボリストやツリークライミング作業では、上下動作を繰り返すことが多く、ブーツの重さによって動きの正確性が損なわれる可能性があります。
次に、屈曲性が欠かせません。足首やつま先の動きにしっかりと追従する柔軟な構造は、細い枝の上や不安定な足場での姿勢保持に効果を発揮します。ブーツが固すぎると足裏の感覚が鈍くなり、微妙なバランス調整ができずに事故を招くリスクが高まります。
ホールド力も重要なポイントです。ロープを使った吊るし切りや高所での姿勢維持では、ブーツがしっかりと足首を固定し、ずれたり脱げたりしないことが前提になります。足首を包み込むようなカットとフィット感が求められ、レースアップ方式やバックル付きのモデルがよく選ばれています。
さらに、高所伐採ではさまざまな姿勢での作業が避けられません。つま先で踏ん張る、枝に足を引っ掛ける、ロープで体重を預けるなど、あらゆる動きに耐えられる構造でなければなりません。こうした観点から、特殊伐採ブーツは一般的な安全靴よりもソールの形状や剛性、サイドの補強などに工夫が凝らされています。
以下は、高所伐採に適したブーツの選び方の比較表です。
機能要素
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推奨される仕様
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理由
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軽量性
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一足での総重量が軽め
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長時間の登攀や滞空作業でも疲れにくい
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屈曲性
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柔軟なソールとアッパー構造
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足の動きに追従し、安定感を損なわない
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ホールド力
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足首までしっかり固定できる設計
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高所での安全性確保、ズレや脱げ防止
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ロープ対応性
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滑りにくい外装素材と摩擦強化のつま先
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ロープワーク中の摩耗や滑りを軽減
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通気性・防水性
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防水性と透湿性を兼ね備えた複合素材使用
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作業環境に左右されず快適性を維持できる
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高所伐採の現場では、道具と体が一体化して機能する必要があります。そのため、ブーツ選びは作業効率や安全性を左右する重要な工程といえます。